連休があった。クリスマスと同様、イースターも国民の休日。10日Good Fridayから始まって、13日Bank Holidayの月曜日までがだいたいの期間らしい。ロンドンの桜のシーズンは東京のよりも早めに終わったようで、新芽に若葉が眩しいこの頃。いつの間にか黄色水仙やチューリップ、名前の分からない草花が庭園を彩っていた。
大学はすでに4月6日からイースター休暇に入って、15日からようやく再開。学校の図書館もずっと閉まったままで、返却しそびれていた参考図書を慌てて持っていった。
とは言っても大学暦的には春休みの真っ最中。3月27日から4月26日がだいたいのお休み。自分の所属研究のように3月29日からさっそく期末試験があったり、課題やエッセイが宿題としてあったりする。休暇中の図書館も意外と多くの学生で賑わっていた。複数の大学生が混在する寮の方はめっぽう静かで、人数も少ないせいか、地下のカフェテリアも省力営業でメニューが減っている。夜間の出入りが多いのは、みんな夜型になって遊んでいるのだろうか。それとも課題に追われて昼夜逆転か。
4月に入って、Paddington駅周辺は旅行客でごった返している。ルーフの無い観光バスには人があふれている。週末はヨーロッパからの観光客が多いそうだ。かつイースター休暇も相俟って、帰省客が加わり、さらに人出が増している。イギリス南西部とヒースロー空港につながるこの駅は人の流れが多く、実にいろいろな人が見られる。耳に入ってくるいろんな言葉やアクセントが心地よくて、たまにコーヒーを買ってのんびりするのが楽しい。金融危機でつぶれたと思った駅前のステーキハウスも、この書き入れ時に間に合い、営業を再開した。
この春の休暇、宗教的な意味合いからすれば、さしずめ日本の盆暮れに似たものと言っていいだろう。時期的にはGWに似ているというのかもしれない。新鮮だったのは、お店が軒並み閉まっていることである。ほんの一日二日ではなく、連休期間中ずっと店を閉めているところが多い。日本では盆暮れすらも朝早くから店を開くのが当たり前のようになってきているから、特にそう感じるのだ。
もちろんスーパーや大型店は開いているところあるが、ちゃんと、イースターも営業しています!なんて宣伝しているくらいだ。休みに休みという感じがまだ当然のように残っている。この期間、観光スポットはどうしているのだろう。たぶん開いているんだろうけど。
そんなEaster Sunday。遅めの11時にクラスメイトの電話で起きたあと、近所のパブでランチを食べた。店内ではプレミアリーグを流していた。店のBGMは煩くないので、大声で叫びながら会話をする人もない。頼んだSunday Roastはビーフなのだけど、グレイビーソースはラムの香りがする。来ている客もなじみの人が多くそれぞれに席に座って、読書に耽ったり、バーテンダーと話したり。お互いどことなく遠慮がちではあるが、なんだか適当な時間が流れていく。実家で日曜日の昼にのど自慢のTV番組をつけながら、庭で草をむしっているような感覚。実にのどかでどこか懐かしい感じがした。久しぶりに観たゲームはあまり聞かないチーム同士だったが、動きの良い実にいい試合で、最後まで見てお店を後にした。サッカーに触発されて、近所の公園をぐるっと走ってくる。Hyde Parkもまだ多くの人で賑わっていた。夕方、近くの教会のChoral Serviceに参加する。あいにくイギリス訛の礼拝についていくほど英語がうまくないし、信心の勉強もおろそかなので聖書も追えなかったが、こじんまりとした集まりは30人程度。1時間程度でさっくり終わった。
夜は、昼の電話の誘いに乗って集まりに参加・・・というか何度目かの出張料理。クラスメイトの彼女的には僕は料理が作る役回りと決めているらしく、肉も魚も無い野菜ばかりの冷蔵庫を適当に吟味しながら3品作ることに決めた。アンチョビキャベツのパスタは、キャベツが大きすぎてちと失敗だったが、ネギ焼きは外れることなく好評である。切って盛るだけの野菜サラダを加えて、他の友人の持ち寄りも合わせてすいぶんボリュームのある食事となった。8人もいたので、あっという間に平らげてしまったけれど。Easterにちなんだポーランドのパンもあった。卵の殻を割らずにそのまま生地のなかに2つ埋めて焼いたもの。お酒もいろんな国のものが混じって充実していた。
参加した人たちは、実に個性豊かである。また人類学的にも多彩。純粋な何とか人なんて、日本人とコロンビア人ぐらいだった。ヨーロッパは確実に交じり合ってきている。ハーフと言っても両親がハーフだったりクウォーターだったり、代々の家のアイデンティーよりも個人のアイデンティーが強くなるのは当然であろう。勉強している専門分野の話は博士課程の彼らにはついていく知識も足りなかったが、聞いているだけでわくわくしてくるから楽しいものである。もっかの共通の悩みはやはり仕事探し。域内経済の統合が進んだ分、キャリアを積む先の確保にも苦労しているとのこと。日本のような新卒優先文化もないから、経験者ばかりが優遇されてしまい、長期雇用の仕事がなかなか取れないそうだ。
社会的規範からの自由さと言うでは、日本のような集団的文化の価値からは離れたところにいるようで、もちろん自分で道を探していくことはとても困難なことであるだろうけれども、なんだか生きるベクトルが異なるようで、個性が豊かだと思うのである。これは社会経験の有無とはまた関係ないと思う。むしろ僕が7年も仕事の経験があるということに驚かられる方であるし、自分の考え方がずいぶん保守的だななんて感じさせられたりする。進取していく姿勢、いい刺激を得た。
帰り道、またそのうち会いましょうということで、別れる。まだ少し肌寒かったが、帰りがけに飲んだスピリッツが効いて気分の良い夜道だった。
Thursday, April 16
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