自らの安全を確保する上で、High Profileは避けなければならない。
端的に言えば、目立つ格好をするな、ということである。
事件や犯罪を誘発するような服装、行動、言動を慎むということにつきる。
普段の貴重品管理から、TPOにあった服装、集団の中でのPolitical Collectness等。
また自らのHigh Profileを避けると同時に、High Profileな施設や組織、ヒト、に可能な限り近づかない、必要最小限のコンタクトに抑えることで、事件に巻き込まれることを避けることが可能となる。
最初は気を使うが、慣れればそんなに苦でもない。
ただし、地元の服を着て現地人に紛れ込めれば良いかというと、これはそうでもない。
地元民からすれば、偽モノなぞはすぐに見破れるからだ。
街中をパトロールするISAFやアフガン国軍の車両は、爆弾テロの格好の標的となっており、被害が増えている。関係機関や基地も、避けようの無いHigh Profile施設。
またUSAIDやISAFの復興支援スタッフは、軍服姿に防弾チョッキで会議等に平気で現れるため、すごく目立つ。そのためここ最近、テロの標的に含まれるようになってきた。彼ら自身、非常に気にしているはずだが、服装を変えたことはなかった。
ここ数日では、復興支援のシンボルとも思われていた「白地に青字で大きく"UN"と書かれた国連機関の車両」もHigh Profileと判断されるようになった。
9月末の騒動を受けて、さすがにHigh Profileを避ける動きが急速に顕著になってきた。今日のドナー会議では、軍服姿は1人しかいなかった。国連車両も民間車両と変わらないように色を塗り替えるところ動きも見られる。街中を横柄に駈ける軍車両もずいぶん減った。
当たり前といえば当たり前の対策が、ようやく減ってきた・・・というのもカブール市内の情勢悪化を受けてである。
プレゼンスという点で、もう一つ。
今日のUSAIDの道路セクターにおける援助方針プレゼンは圧巻だった。
まず英語とダリ語の両標記でパワーポイントを作成。
相互通訳も入れており、英語の弱い省庁側の言葉のストレスを感じさせない。
現在進行形の他援助機関の協力内容を総括し、新たな戦略政策を提唱する。つまり自分たちが新しい・正しいを全面的にアピール。
ヒト・カネ・モノで他ドナーの追随を許さない圧倒的な投入計画を背景に、これまでの援助機関の協力結果を飲み込んでしまう勢い。
もっとすごいのが、アフガン再建のために制定されたアフガンコンパクトと呼ばれる政府の復興計画(ANDS)を踏まえつつも、それをさらに超えたものを提唱してしまっていること。USAIDが国のスタンダードを作る、そんな感じだった。
プレゼンにおいては、どこかで聞いたことがあるプロジェクトマネジメントの各手法がちりばめられ、人材開発コンサルみたいな提言まで含めていた。
はっきりした物言い、自信にあふれた態度、周到に用意された質問への的確な回答。
もうやられた、完敗である。
10月半ばに発表を予定しているうちの技術協力計画の提案が、飲み込まれそうな感じだった。
巻き返すべく、こちらも負けじと質問を投げかける。
何か言っておかないと、会議に自分が存在していないのと同じ。会議の場ではHigh Profileが重要。会議が終わってから個別質問に行くのでは、他の会議参加者へのアピールにもならない。われわれがこの分野に関心を持っている点、既に協力計画を策定している点を説明することで、日本がプレイヤーであることをPRする。
一見完璧にみえる彼らのロジックも、現場で付き合ってきた方からすれば、実際的なプロジェクト障壁にかかる質問には、相手も揺さぶられる。
この業界、なんと言っても現場を知っている方の発言が強く、重みが違う。
思惑通りにいかずに悩むことがあるが、やはり現実は想定したようには上手くことは進んでいかない。こういう場では、そんな苦労がアドバンテージだ。
そんなこんなで、自らも抱える道路維持管理システムの地方展開にかかる課題ついて質問したことで、今後のUSAIDの支援計画の最終化に向けて、当方の技術協力計画を彼らの計画の中に位置づけ、共通目標の達成に向けて、役割分担をしていくことで理解を取り付けた。まぁ実際には書いているほど大したものではなくて、単に同じテーブルについて一緒に協議していくことになった程度の話でありますが。
様々なプレゼンスのあり方について、久しぶりに刺激を受けた会議であった。
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