Saturday, October 21

Bamiyan, Bamiyan,

出張の機会を得て、前々から一度行きたくて仕方のなかったバーミヤンを訪れた。

バーミヤンといえば、カブールの北西に位置する街で、アフガニスタンを代表する観光資源を有する古代遺跡群と渓谷の自然景観が有名。
2001年のタリバン政権末期に大仏が爆破されて、世界のニュースとして注目されたことが記憶に新しい。

ちょうど都市開発省大臣のイニシアティブで、ユネスコ「世界遺産」にふさわしい街としての「都市開発」を・・・・という壮大な構想が描かれ始めたので、どんな街なのかと期待していたが、何のことはない、「村落開発」という言葉がぴったりの田舎町であった。

空港滑走路が舗装されていないばかりか、市内道路で舗装が為されているところは100mもない。市内電気の供給もなくて、当然水道はなく、まさに石器時代・・・。

裕福な家庭では、プロパンガスや自家発電を使っているようであったが、夜は文字通り真っ暗闇になる。
石窟仏教寺院は、大仏の跡形も無く、また略奪や破壊にあってか、ほとんど見る影も無い。つい最近10月初めに日本チームが新たに発見したという仏教壁画は、これ以上の損失を防ぐためか、石窟にはめ込み扉が設置され、人が入れないように保護されていた。断崖に掘り込まれた仏堂が残っている。「そこに確かにあった」という偉観が迫る。宿(その名もRoof Top of Bamiyan)の位置する高台から飽きるともなく何度も眺めていたが、何だか不思議な実感だった。

バーミヤンは多民族国家アフガニスタンの主要民族のひとつであるハザラ人の居住地帯(通称ハザラジャート)の一角で、日本人に近い顔立ちをしているせいか、街行く人とも特別の親しみを感じる。石窟前ですれ違ったハザラ人と思わしき人に声を掛けたら、なんと日本人大学生の一人旅であった。
石窟大仏は東西に二つ(西が男性で、東が女性)、その間にもう一つ(子)と呼ばれる大仏跡があった。東のほうの近くには、洞窟で人が暮らしているのも見られた。

バーミヤン渓谷の自然景観では、なんと言ってもバンダミール湖が素晴らしかった。
こちらはあまり知られていないが、見事としか言いようがない。深く蒼々と湛えた水は、透明度が高く、どこまでも吸い込まれそうだった。
鍾乳洞にみられる有名な景観「テーブル」のような形をしている湖である。

ところかわって、少し仕事のはなし。
バーミヤン地方のようなところでは、中央政府の行政組織が機能していない。
そのためアフガン政府に代わってNGOによって地方クリニック(診療所)が運営されており、バーミヤン州病院は、アガカーン財団の支援よって医療サービスが提供されていた。年間運営費はおよそ1万ドルに達する。

ここまでのNGOの力(資金力、人材力)は、なかなかお目にかかることはできないが、行政サービスの代行を担っている現場を実際に見るに付け、復興支援における行政サービスの再構築という視点から、大変興味深い手法であると感じた。

ちなみに、アメリカの公的援助団体であるUSAIDは、年間800百万ドルを投入して同様の地方医療施設(BHC/CHC)の支援をNGO委託により実施している。
援助の面的展開という点で、アメリカの影響力は他団体を規模・量ともに圧倒する。USAIDによる復興支援の地方展開においては、援助効果の継続性(地方政府がドナーの支援終了後も自前で維持できるか)という点よりも、緊急性という観点から支援を展開しており、援助の継続性以前の問題として、平和構築期における地方の安定を確保することに注力している。今の日本では、まず真似できない援助手法である。
その代わり、国内人材直接派遣型(専門家派遣)において実績のある日本は、政策アドバイザー等の配置による中央政府の立て直し(予算計画、調達、人材育成)に強みがある。うちから攻めるべし、と言ったところだろうか。

おまけ:
夜には宿の屋上に毛布とじゅうたんを敷いて、UnderStarSleepingをやってみた。持参したフリースを着ていても寒く、息も白く、さすがに外で寝ることはなかったが、見事な天の川だった。
3泊4日の日程、飽きずに3日間とも宙を眺めて、計12個の流れ星が見られた。

2 comments:

Anonymous said...

子どもたちの笑顔がかわいいですね!
些末なことを忘れ、しばし魅入ってしまいました。壮大な自然、人はこの中で命を紡いできたのですね。
汗を流しのみをふるい、この大きな石仏も完成したのでしょう。
何かを成すのは本当に大変ですが、あせらず、くさらず、たゆまず…そしていつか、
流れ星の数だけ叶いますように。

Anonymous said...

今まではこちらではyour blogが見られなかったんだけど
なぜか数日前から閲覧可能になりました。
というわけでちょこちょこと拝見しますのでよろしくー。

石仏の跡もさることながら
バンダミール湖の景色が圧巻だね!
そんで、着実に大きな仕事をこなしていってる姿が
とってもかっこいいですよ。
私もあなたを見習ってがんばろーっと。

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