朝食を取っている中庭には、浜松のガス会社のガスボンベが置いてあったのを見つけた。途上国では日本の中古車以外にも意外なものが出回っている。
ホテル厨房が壊れているので、レストランは営業していないが、朝食だけは中庭でサービスされる。キャンプみたいなもので、ホットケーキと卵焼き、カットフルーツ、オートミールが食べられる。コーヒーは日によって濃さが違う。個人的には薄めが好きだが、地域的には濃い方が好まれるのだろうか。
隣のテーブルでは、日曜日の朝だというのにミーティングをしている。数百億円の世銀のインフラ事業がうんたらかんたら、中国だったらうんたらかんたら・・・といいながら時折り視線をこちらに投げかけてくるアメリカ人らしき人がいる。青年研修が大事だ、職業訓練がやっぱり必要ではないか・・・若者へ機会を与えることに関して腐心している様子である。・・・・と、こんな感じで支援の内容が決まってしまうものかなとも思う。
実際のところ、国際社会による復興支援のプログラム形成においては、支援国会合で各国ドナーが集まって何ができるか、どれくらいの資金援助ができるか、なんて協議をするのだが、それらの根拠は、現場からのニーズの汲み上げが一つと、各国の財政事情や政治的つながり、技術的アドバンテージが影響してくる。
現場レベルでのこうした議論は、お金の出所が決まってから具体的に何を実施するか話をすることになるから、だいたいはセクター(分野)に当たりをつけた上でさらに支援メニューを有る程度リスト化したうえで、現場に入ってから確認したニーズに沿って調整していくことになる。
とはいえ、現場レベルでの支援プログラムの検討に何か決まりがあるわけでもなく、例えば復興支援プログラム担当している自分の専門性や事業経験よって関心のあるセクターや事業方針が変わってきたりするから、そのときそのときの担当者や関わっている人によってプロジェクトやプログラムが影響するのは避けられない。
教育に強い人がいれば、まずは一番被害を受けやすい児童教育や衛生教育をなんとかしないといけないと思うだろうし、インフラに強い人がいれば、まずは物資輸送を安定化させるためにこれら復旧を第一と考えるだろう。
さっき隣に座っていた面々がどこの組織かは分からないが、ああやって議論した内容がどこかの本部で承認されて、ハイチ支援の一つとして実施されていくのだろう。あの場で、僕が入っていって、コラボレーションを申し出れば、また違ったプロジェクトが立ち上がるのかも知れないと思いつつ。
今回立ち上げたプロジェクトはハイチの復興計画作りと、緊急リハビリ事業によるレオガン市の水道施設の復旧、その他インフラ事業の形成がメインだ。すでに予算がカツカツなので、これ以上の事業拡大は無理っぽいので、コラボレーションも自重する。自前のカネがなければだいたい動けないのが、うちの事情だ。相手の財布を期待したところで、なかなか動かないことはよくある。
復興支援におけるニーズは、政府の考える大きなニーズと、生活再建に必要な個々の生活のニーズと間にかなりのギャップがある。どちらのニーズを充足することが求められているか、それぞれの支援機関によって立場や思想が異なるから、一概にどれが良いとはいえないのだが、少なくとも必要なのは、それぞれがそれぞれの立場で尽力しつつ、現場での調整をきちんと図って公平に支援の手が伸べられることだろう。
レオガンの副市長は、援助機関のコーディネーションがないということで、かなりご立腹だったのを思い出す。しまいにはハイチ政府批判にまで及んで随分と感情的だった。ほとんど議論にならず時間の無駄だったが、彼自身、鬱積するものがあったのだろう。緊急フェーズを抜けて復興フェーズに移りつつある中、このフェーズ間のギャップを埋める支援が、意外と抜けている。
Tuesday, June 8
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