寒いので電気コンロで湯を沸かして部屋の湿度を上げてみることにした。なんとなく温かい感じがする。鍋に残った石灰分の量が半端でない。カブールの水はほとんどを地下水に頼っているが、石灰分を多く含んでいるので、そのままでは飲料に適さない。いわゆる硬水というもので、石鹸やシャンプーも泡立たない。しかしまぁこんなに多いとは想像できなかった。
昨日ニュースを見ていたら、日本政府は自衛隊のアフガン派遣は合憲との解釈、とのニュースが飛び込んできた。7月には自民党が自衛隊を派遣するということで、民主党から反対論が起きていたと思ったら、今度は民主党が国連決議の元に自衛隊をアフガンに派遣したいらしい。結局、端から自衛隊派遣ありきで議論が進んでいたんじゃないか。
いわゆる軍を派遣する場合には、その維持や後方支援を含めて途方も無いお金がかかる。大型地震発生時の災害派遣のような緊急で道路や橋を復旧する必要がある場合以外、民間とのコスト比較は無意味に等しい。アフガンの復興のために何ができるかと費用対効果を考えたならば、軍によって道路や学校を作るよりも、民間の専門家やコンサルタントを現地に派遣しての技術移転や資金協力によ
自衛隊をアフガンに送り込んで何のメリットになるのか分からない。誰のための貢献というのか?
去年の市内暴動を見ても、外国軍のプレゼンスは、市民レベルでは歓迎されていない。カルザイ大統領はあと10年は外国軍の駐留が必要だと主張しているけど、そこまでしなければこの国は安定しないのか。9.11以来、テロとの戦いは6年を超えているというのに。カラシニコフを肩にかけて市内を警備する警察のレベルは低く、市内でテロ散発を許している事態は由々しき状況とも言える。汚職も進んでいるなかで、軍事的プレゼンスに関しては市民のアレルギーは強い。そんな状況でアフガン人に日本の自衛隊の派遣が歓迎される訳がない。
自衛隊が来ることによって、日本人関係者への脅威が増すことになれば、問題はより深刻になる。
今年は援助関係者が誘拐されて、外国軍の派遣を中止するような要求が相次いだ。イタリア、ドイツ、韓国人の誘拐事件りは記憶に新しい。7月に起きた誘拐事件で、韓国はついに軍の派遣を終了し、本国に引き上げた。韓国は軍事オペレーションに参加していたわけではなく、自衛隊が行うとしている後方支援に徹していたにもかかわらずだ。
国際治安維持部隊の後方支援に目を奪われて、一線で活躍する日本人たちと日本人と共に働くアフガン人スタッフが、誘拐やテロの危険にさらされるとしたら、誰のための支援なのか、本当に分からなくなる。(外国人と関係を持っていると知られただけで、そのアフガン人が事件に巻き込まれる脅威も少なくない。)
援助関係者の間では、治安状況の悪化を背景に外務省の渡航措置引き上げに伴い、地方や現場にいけないことがネックになっているという議論がある。現場の実情を見なければ、何がプロジェクトの課題となっているか分からないからだ。他方で、日本人が必ずしも現場に行かなければならないとも思わない。我々の間では遠隔操作と呼んでいるものだが、例えば村落開発のプロジェクトでアフガン人スタッフに現場にいって状況を報告してもらったり、状況に応じて指示をしてきてもらうこともできる。現地NGOにプロジェクトを委託して、助産師の教育プログラムを実践してもらうことだってできる。
現地スタッフや現地NGOを積極的に活用することで、日本人専門家を現地へ派遣する以外にも別の方法で効果的に支援するやり方がある。平和構築、復興支援においては、そのようなアプローチがもっと検討を深めたいところだ。日本大使館では、草の根無償による現地NGOへの直接支援やNATO軍PRT(Provincial Reconstruction Team)を通じた支援も展開している。不安定な治安状況下で、多様なプレイヤーがそれぞれのメリットを生かした支援を行っている。
他方、いろいろ抱えて自分たちでなんでも管理しようとすると、時間と費用と手間ばかりかかって面倒になるし、すぐに抱えきれなくなって実施能力に限界がでてきてしまう。今のJICAの支援はその辺りに限界があるのかもしれない。もっとアフガン国民の自助努力に沿ったやり方で手を差し伸べられるような支援方法が出来たらいいな、と考える。
泡立つ年の瀬。いろいろあるのよね。この辺りもっと論理的に考えてみたいところ。まだまだ表面的。何をどう掘り下げてみればいいのやら。
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