NHKの「どんと晴れ」はポイントの高い連続ドラマで、宿舎住人で合同視聴して、「もてなしの術」を勉強していた。
単に料理好きの所長とだけでは言い表せない、おもてなし上手の所長は、赴任して約2年の間に50回以上のカブール来訪客を共同宿舎に招待してご馳走を振舞ってきた。多い時には一ヶ月の間に5回とかあったりもした。2度目の招待客には、以前と同じメニューを出さない研究振り。宿舎住人には時として試作メニューが振舞われたりする。
ご招待の日には、お手伝いさんも総動員して平均8名から10名くらいの料理を2時間かけて展開する「おもてなし」は見事なものだ。
ぜひお近くの本屋にて「料理王国」12月号をご覧頂きたい。
そんな所長と食事に招かれた先生との縁をきっかけに出来上がった記事が3ページに渡って掲載されている。生きる基本としての「食」について、料理雑誌ならではに、鮮やかに展開されていた。
今月初めに1年半過ごしてきた共同宿舎を出て、ゲストハウスに移ってきた。
バスルームとキッチンが付いているので、上司と隣同士の生活がなくなり気分的に負担が減った一方で、なんとなく人の気配のしない一人暮らしに微妙になれなくて、共同生活が懐かしかったりもする。
共同生活を抜け出したとは言っても、ゲストハウスにも20人くらいの関係者が住んでいるので、引きこもっていない限り自由勝手気ままにとは行かない。それでも会社以外の機関の人もいて、仕事の時間外に色々話が聞けることの魅力は、宿舎を出るきっかけの一つであったのだけど。
宿舎生活では雇いの料理人がいて朝昼晩の3食を用意してくれていたこともあり、食べることには困らなかった。食べる時も誰かがいるので、特になんとも思わなかったが、アノ環境がいかに貴重だったか 、分かっていたつもりだったがこうして一人で料理を作り始めてみると最初は楽しかったが、やっぱりみんなで分け合う料理と時間は素敵な経験だったと思う。
今月の15日に後任が着任する。
保健・インフラ分野の案件担当から、総務班での安全対策に担当替え。
引継ぎのための仕事のたな卸しを始めてみれば、あれもこれも力の及ばなかったところが見えてきて反省点すること一杯、仕事も片付くどころか、収拾付かず。ちゃんと引き継げるのだろうか。
この状況、性格の良く似た友人の言葉を借りて言えば、
「以前の仕事を、距離を置いて傍目から見たら、あれもできたこれもできたと思うこともある。自分自身が指標にしているのはそのときそのときで最善を尽くしていたかどうかということ。自分がやったことに対して後悔することはあまりなくてやらなかったことに後悔する自分がいる。」
まさにそんな感じ。
引き継いだプロジェクトをこれからまた暫くそばで見守っていく立場になるのも少し複雑な気分。
というか単に自分の負けず嫌いなコンプレックスを見そうで嫌なんだけど。
それでも安全対策を任されることになったのも、カブールでの生活が長いというアドバンテージ?があったからこそ。誰もまねできないこれまで培った経験(市内暴動、緊急移送、一時退避準備、緊急援助もろもろ経験済み。)と能力を活かして、次の仕事も全力で取り組みたいと思う。
それこそ「おもてなしの安全担当」の責任として。
まぁ、まだまだ昨晩飛んだロケット弾の音に気づかない時点で経験不足だけど。
先は長い。(いつ帰れるのだろうか・・・という思いもなくはないのだけど。)
「基本的にはできることからひとつずつ」ということか。
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