虫が鳴いている夜もある。秋 も近い感じ。
庭に咲くバラはますます色鮮やかに、同じ庭を毎日見ているのに、5月から実にいろいろな色と花弁が咲き乱れている。
事務所駐車場の日除け代わりのブドウ棚も、すっかりたわわに実った房でいっぱいになったので、美味しく頂戴することにした。一粒一粒に甘みが凝縮されていて、日本の甲斐路に似た歯ごたえ。
試しにひとつ取ってみたらそれを合図に我れ先にと、みんなで収穫開始。それぞれにお目当てをつけていたのか、あっちだこっちだと、美味しそうなものはあっという間に無くなっていった。
日本のような統率の利いた引越し業者はあるわけもなく、ドバイのダイソーで調達してきた軍手とマスク、雑巾を装備し、中古の段ボール箱を市場から購入し、大型トラック2台と12人の荷役を雇って、事務所スタッフも総動員での人海戦術で実行。
あっちこっちにモノが投げられもし、ぶつかりもしで、家具や備品もいくつか壊れたりもしたけれど、あっちへドタバタ、こっちへドカドカ、舞い上がったホコリでゴホゴホ、すっかり疲れてヘロヘロ、着ていたものヨレヨレ、最後に不要品を焼却処分してゲホゲホになりながら、無事に終了。
よりによって「退避勧告地域」に引き上げの時期と重なってしまったが、より安全が確保されたエリアに移動したということで、ここは結果オーライということで。日本から来る予定だった通信業者が途中で引き返してしまい、一時は衛星回線の引越しが危ぶまれたものの、現地業者も頑張ってこちらも無事に完了した。
外務省の危険度は引き上げられたものの、現地の治安が急激に悪化したという感じではないので、なんとなく非現実な感覚を覚える。目に見えない脅威が散乱しているのだろうけれど。
ちょうど日本からの出張者を迎えていた時期と重なって、この7月後半はてんてこ舞いの毎日だったが、無事に引っ越しも終え、荷解きも落ち着き、ここ一週間でようやく息がつけるようになってきた。
まだペンキくさい改修したばかりの新事務所ではあるが、それなりに快適になった。
まず執務室が明るい。床が見えないほどだったスペースも広くなって、新しく張り替えたカーペットの群青色が落ち着いた感じを与えてくれる。エアコンの効きもよくなったし、電気配線もすっきりしたので、足元をすくわれることもなくなった。さっそく水周りに問題が発生して、トイレに水がまわってこない事態になっているが、ご愛嬌。
毎日の生活リズムになっていた旧事務所前のワジルアクバルハーン・モスクのアザーンが聞こえなくなったのは、ちょっと寂しいけれど、広くなった敷地のおかげで運動量は増えそうな感じ。通りの渋滞もなくなり、気持ち空気もきれいな感じがする。ちなみに今度のお隣さんは国防省。
当初予定の一年半の任期もあと2ヶ月だけど、先輩諸氏が滞在2年を超えそうなところを見るに、まだまだこの先、新事務所での生活を楽しめそうである。
それが良いか悪いかはまた別問題としたいところではあるけれど。
No comments:
Post a Comment