Sunday, May 21

Get Connected

ここでの滞在中は、携帯電話が2台と無線機1台が支給される。
携帯電話はそれぞれ異なる事業者のもので、業務用であり、非常用でもある。
国際電話もこれでかけられる。
支給された2台ともサムソン製で区別がつかずややこしかったので、1台は自分の携帯を使うことにし、SIMカードを入れ替えた。
無線機は、移動の車を呼ぶときと非常時(どこかで爆発が起きたときとか)の安否点呼に使う。



毎晩8時半になると、無線機のテストを兼ねて、関係者全員の点呼が始まる。
無線機には英字と数字で組み合わされた識別コードが振られていて、
「○○○-8, How copy?」と順に回ってくるので、
「This is ○○○-8, loud and clear.」とか、「○○○-5, I'm fine, over」
なんて答えます。
時々、「今夜は冷えますね。」とか、「今日は自分の誕生日でした~。」なんてコメントを付け足す方もいるけど、毎夜毎夜こんな無線点呼を繰り返しながら、皆んなの無事を確認したりする。
今カブールに滞在中の日本人関係者は結構な数がいて、うちが抱える事業だけでも50人を越える時がある。のんびりしてて思わず自分の順番を忘れたりすると、もう一度後から答えなかった人だけ、応答が繰り返されることになる。
それでも出ないと、今度は携帯に電話で確認が来る。
ちなみにこの作業を担当しているのは、セキュリティーオフィサーのアメリカ人である。

今月の初め、ある方が点呼に応じなかった。

携帯にも連絡してみたが、応答がない。
心配して同じ宿舎に泊まっている人が、その人の部屋に行ったが、返事が聞こえない。鍵がかかっていないドアを開けて部屋に上がりこむと、頭から血を流して倒れていた。

脳溢血だった。
同じ宿舎に日本人の医者がいて対応を開始し、
事務所では緊急連絡体制を構築し、
2時間後にはISAF軍の野戦病院に搬入され、
2日目には手術をし、
3日目にはドイツから飛んできたチャーター機でドバイに緊急移送された。
5日目には意識を回復してヨーグルトが食べたいと言った。

無線の点呼がなかったら、おそらく亡くなっていただろう。
病院に搬送した際には意識がなく、右半身が麻痺していた。

当地に施設の整ったまともな病院があるわけがなく、
夜間は治安上、外出禁止で武装警護がなければ車も動けない。
野戦病院はもちろん軍の施設の中で、ハードターゲットエリア。
仮にどこかで大規模な戦闘が起きていたら、民間人は入れてくれなかった。
ましてここは、標高1,000mを越える高地に位置する。

奇跡的な対応と、本人の驚異的な回復力で、今は早くも仕事に戻りたいと言っているそうだ。生きて日本に帰られるそうで良かった。ご家族もドバイに駆けつけた。

この分野の仕事をする中で、関係者の急病を見ることは少なくない。
その度に、今自分が援助の最前線で働けることを気概に思いつつも、自分の家族や友人を思い起こす。
自分を卑下して人の心配なんかいらない、なんて強気に思っていた頃もある。
でもやっぱり、人は一人で生きているのではない。
家族や友人に支えられながら生きている。

親孝行が足りないなぁと反省しつつ、毎週末実家に電話をし始めたこの頃。
皆さん、元気にしてますか?

1 comment:

Anonymous said...

国を出て思う家族と友。。
ご家族も毎週電話が来ると嬉しい&安心するのでは♪
頑張って続けてね☆

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