Sunday, October 7

ひだりにまがります。

箱詰めの林檎や柘榴が出回るようになってきた。
古くさ~い板切れ組みの木箱に入って、街路で売られている。

今夜は所長の腕まくりで、鳥団子鍋をごちそうになった。

出汁が絶妙な濃度で旨い。一度火を通してある人参と大根と白菜を、肉団子の入った鍋に入れて食べる。

付け合せにはカブとキャベツの浅漬けに、微妙に表面が乾いてしまった漬け昆布。どちらもシャキッとした歯ごたえが気持ちいい。

スープを味わいつつ、何か足りないなぁ・・・と見上げた顔の先には、鍋をよそう好きなアノ子の顔が・・・という惜しい展開もなく、その先には飲み明かした焼酎のパックのオブジェ。
どの入れ物に中身が残っているのか分からない空のパックも、居酒屋の雰囲気を出すための貴重な宿舎のアイテム。そうそう、鍋にこそ焼酎。やっぱり鍋には焼酎だよな~と、ようやく当てた中身の入った焼酎も、カップ一杯でほろ酔いに。
そんな旨さが味わえる感じの寒さである。

先日、とある援助機関の会合に呼ばれ、カブールの中でも一番警備が厳重な施設に入る機会があった。何重にもなったセキュリティーをくぐり抜けて聞こえてきたもの、それが

「ひだりにまがります、ぴぴーっ、ぴぴーっ、ぴぴーっ、ぴ」 だった。

何ごとかといえば、施設へ食料の搬入に来ていた日本製の中古車の音。
周りには人っ子一人いなくて、殺風景な駐車場でその車だけが転回中だったので、かなり間の抜けた風景だった。もうホント拍子抜け。厳重な警備に身体を固くしていた分、身をよじるほど何だか可笑しくてしょうがなかった。

ついでに「バックします、ぴぴっ、ぴぴっぴ」というおまけバージョン付き。

アフガンにおける日本製の中古車はあふれかえっていて、車庫証明のマークのついた車も結構見かける。アフガンのタクシーと言えば、黄色くカラーリングしたカローラワゴンだし、乗り合いタクシーと言えばト○タのボックスワゴンだ。ついでに援助機関がよく好んで使うのは、トヨ○のランドクルーザーであったりと、そこらかしこで日本車万歳な感じである。実際にアフガンスタッフの話を聞いていても日本車の評判は良くて、アシスタントの一人は最近ベンツからトヨタに乗り換えて喜んでいた。

日本製の中古車がよろしいということで、払い下げ前の塗装のまま使っている車もあり、石川県のとある高校の野球部のマイクロバスや、藤沢市という名前が残ったままの特殊車両、レインボーレンタカーなんていうマイナーな会社もあったり、筑波でよく通っていた石○電気のトラックもあったりして、まぁなんというか、ネタ満載の街である。

それにも増して、自分たちで日本文字をペイントしてアピールしている涙ぐましい車もあったりして、微妙にカクカクした日本語のレタリングや、どうみても反対側から書いてしまった文字を見ると、愛着も湧いてくる。できることなら、マーカー持っていって直してあげたい。

なわけで、「左に曲がります」という車のウィンカー音も、あえて残しているとしたら、その心意気に乾杯したい。仮にダリ語に録音し直されていても、そっちの方が収まり悪いだろうから。

3 comments:

Anonymous said...

スギタさん、この間、インドからのハガキが届いたよ、ありがと~。
インドからの郵便は久しぶりだったな。

Unknown said...

ちわっす。
外国の地で食べる鳥団子鍋うまそー。
ってゆーか、普段から日本食とか食べれるんだ。
アフガンって、ダリ語なんだ始めて知った。

Bird said...

しょうこさん、
復路はアメリカ宛が一番速かったか。それでも2週間強だね。往路で出した日本宛の葉書は2週間かからずに届いてたんけど・・・。
まだカブールの自分宛が届いてません。
どこを彷徨っているのやら。(ToT)?
キンヤへ、
冬に帰ったら鍋コースで同窓会頼むよ。
んでもって、やっぱり焼酎で。

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